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2026年3月3日 - 3 MIN READ
人間は自分のボキャブラリーにない表現は理解できない話

人間は自分のボキャブラリーにない表現は理解できない話

比喩は適切に使おう

これ書いた動機

某氏が『比喩を使うと相手に比喩を理解させるために脳のリソースを使わせて分かりにくくなるから絶対に使わないべき』と言っていた。 自分的にはこれは半分嘘でレベル帯に合わせて比喩を使うか否かを考えたほうがいいと思っている。

比喩がよいとされる場合

人間は抽象概念に弱い。抽象概念を理解するには身近なものに例えたほうがよい。

純粋に比喩

電流という概念を水の流れに例えるのは良くできた比喩だ。 電圧は滝の高さであり電流は一定時間内に流れる水の量に例えられる。 これを理解していれば高電圧な電線に感電しても一瞬で手を流せば危険性が低いということが理解できる。 滝の高さが高いという話と身体の中を流れる水の量は別問題であると理解できるからだ。

他にもIT分野は抽象概念なので技術の名前自体が比喩な事が多々ある。

通信において暗号学を用いて真正性を保つ技術の名前は署名(sign)といい、署名を行うコンピューターのことは署名者(signer)という。 日本でITが発達していたのならこれをハンコとでも言っていたのだろう。 本当に自分が行った通信だと、通信内容が書かれた紙にサインをしてるように感じられ非常に分かりやすい。

所詮は0と1の電気信号で機械にとって都合のよい謎の作業をしていることでしかないので、 人間にとって身近なもので例えないと作業の目的や意図が分からなくなる。

自分はIT分野の新しい技術を調べるとき、『つまり○○は××でいうところの△△』という風にして思考を圧縮している。 そうでもしないとIT分野は複雑な技術がポンポン出てくるので全てを理解するのは自分の小さい脳みそでは無理だ。

具体的なストーリーの説明

何故それがあるのか分からない場合があるなら具体的なストーリーを交えて説明すると良い。

ansibleというソフトウェアはコンピューターの初期設定を行うツールだ。
これは今まで存在した構成管理ソフトウェアとは違って冪等性が担保されているので実行時の状態が常に等しくなるように設計されていて便利だ。

冪等性の意味がよくわからない。 しかし具体的なストーリーを交えるとよくわかる。

例えば今までの構成管理ソフトウェアは途中でインストール作業が失敗してしまって、
改めて設定を直してから最初から実行すると前回失敗した箇所までにインストールしていたソフトウェアを2回インストールして不都合が起こっていた。

これがansibleだと冪等性を保証するするため既にインストール済のソフトウェアのインストール作業はスキップされる。
これでansible実行時は常にソフトウェアが1回インストールされただけの状態が担保されて変なバグを踏みにくい。

冪等性が何であるのかの存在理由がわかりやすくなった。

バッドプラクティス

比喩が冗長な場合は言わずもがなである。 また、聞き手の文化が話し手と合致しない場合もある。 この場合はかえって意味不明なポエムを書いているだけに過ぎなくなる。

例えばキリスト教の聖書の一部は比喩が大量に使用されている。 これは当時の人にとってはわかりやすい説明だったのだろう。 特に神などといった目に見えないものは抽象的な概念なので分かりやすく説明するには比喩を使うのが良かったのだろう。 しかし現在の学者にとっては知らない文化で例えられて本来言いたかった意味が分からなくなり、現状書かれていることが不明な支離滅裂な文章となってしまっている。

聞き手のレベルに合わせた説明が大事だと考えている。

結論

物事は白が黒ではなく、グラデーションになっている。 それを一側面だけ見て全てダメとするのは些か早とちりが過ぎる。 適切に道具の特性を判断し、道具の特性に合った場で道具を使うのが良い。

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